2015年11月3日に行われた東京都メトロポリタンマウンテンミーティングにて、西多摩マウンテンバイク友の会代表でもり、連絡協議会委員でもある中沢清が、マウンテンバイク側の代表として、主催者・行政側・登山・トレイルランナーの代表と一緒に同日行われたシンポジウムにも参加してまいりました。
シンポジウム参加者より、議事メモをいただきましたのでシェアさせていただきます。
(議事内容に修正点やご意見などございましたらGmailあてにご連絡いただければ幸いです。)
パネリスト(敬称略順不同)
都環境局自然公園担当課長 : 根来喜和子
山と渓谷社 : 宮崎(司会)
都レンジャー : 師岡伸行
日本山岳会副会長 : 山田和人
プロトレイルランナー : 鏑木毅
西多摩マウンテンバイク友の会会長 : 中沢清
根来(環境局)
トレイルランについての問題点は平成21 年頃から増加してきていた。このようなことを背景として、平成26 年度に登山道などの使用に係るルールの設定の必要性が生じることとなり今回のルール設定の運びとなった。
ルール設定についてのパブリックコメントの聴取を実施したところ驚いた結果が生じた。
他の利用者からのコメント数と比べマウンテンバイク利用者からのコメントが非常に多数寄せられた。
「マウンテンバイク利用者:421 件 トレイルラン利用者:15 件 その他」
マウンテンバイク利用者の自主ルール策定について
東京都としてはこのような動きに驚き感動した。パブコメが有効に働いたものと考えている。マウンテンバイク利用者の自主的な話し合いからルールを制定しているので、都はこれを取り込む形でルール作りを行った。
トレイルランについてはルールを守る為の取り決めを細かく設定した。大会関係者と調整し進めている。
宮崎(司会)
東京都ルールについてどう考えるているか? またマナー等の動向はどうなのか?
師岡(レンジャー)
マナーについては一時的に非常に良く無い時はあった。現在は改善されてきている。
山田(山岳会)
登山者の立場からみるとトレイルランナーのマナーは良い印象がほとんど。
すれ違いマナーなど当たり前であるが、登山者でも分かっていない人もいる。
師岡(レンジャー)
山を知らない。マナーが悪い者もいる。ロード(ランナー)から入った人のその傾向があるように考えている。高山を走る人には山を知っている人が多いように感じる。
鏑木(トレラン)
委員として一年間取り組んできた。今回のルールの策定に関しては非常に民主的なステップで作られたと思うもっと行政サイドの都合で作る事もできたはずと感じた。トレイルランナーの立場で至極まっとうなルールであって、もっと早く作るべきだったと考えている。山にアクセスしやすいところから気軽に山に入った事が問題の発生に繋がっている。
ロード(ランナー)からのトレイルランナーには特にルールを知らせる必要性を感じている。
大会関係については身勝手な自己責任でやってしまっている事に問題がある。
決められたルールや法を守る事が必要。それがトレイルランの世界を狭めるものではない。
ルールを守ってもらう為に競技団体としてしっかりとしたものが存在し無い事がまず問題。
コントロール出来る組織が無い事に危機感を感じて、トレイルラン主催者を対象に周知活動を開始した。
大会関係者も危機感を持っている事が分かり組織が発足する事となって、少しずつ環境が整いつつある。しかし関係者に各々の思いがありその間の意見が相違する点を纏めるのに苦慮している。
中沢(マウンテンバイク)
マウンテンバイク以前の自転車で山を走っている人はいた。ランドナーなどの自転車を担いて登る。東京でも担いで走っていた人達がいた。
しかし、マウンテンバイクは乗車率の高い場所を走るのが普通であり、高い山を走る人は全体からみて少ないのが実態。
自転車にかける思いが強い人達がいた事もあり。ルールが明らかになった際にマウンテンバイクについて書かれていた事がほとんどなく、東京都には相手にされていないと感じていた。そこから話し合いが始まった状況。
トップライダーの声かけによって纏まりが出来てフェイスブックで話し合いをする切っ掛けとなった。また何かできる事はないのかと地域との交流をしようと考え、2011年に西多摩マウンテンバイク友の会を発足し、ゴミ拾いなどをするうちにそこから色々な広がりができて現在に至った。自主ルール冊子については関係ショップやイベント開催によって配布を行っている。作る事よりも配布し広める事が重要と考えている。
・都立草花公園(大澄山)
ここでの活動は自転車に乗れる場所ではないが基本な活動方法などの習得等を行っている。
・野山北六道山公園
ボランティア活動を通じて公園関係者や地域住民との繋がりを築き、レースとは別の角度からマウンテンバイクの理解を深める活動を行っている。
師岡(レンジャー)
マウンテンバイクが度外視されていたわけではなく、ルールの内容の実態はあっていなかったという事。その為これは絶対に大きな反響はあると思っていた。
また、”書きにくい理由”があったという事かと。山道は本来歩行者のを対象と考えておりマウンテ ンバイクはその山道を車両で使用するということであるから。
中沢(マウンテンバイク)
自分が考える一番の問題点は窓口がマウンテンバイク側に無かった事と考えている。まず問題が生じた際に誰に話せば良いのかがよく分からない状況だった。 友の会はこのような事を想定して作っていたところ。それが起きたと感じた次第。このような場を持つ事が出来て結果的に良かったと考えている。
鏑木(トレラン)
自分にはトレランの重たい責任があり、もっと周りに知らせる事が必要と感じている。 マウンテンバイクのムーブメントは非常に大きなものがあり、トレイルランにはなぜできなかったのかと感じている。マウンテンバイクに比べ競技人口が多くて纏める事がしっかりできなかったのが原因かもしれない。
師岡(レンジャー)
トレイルラン利用者からのパブコメが少なかった理由等については東京都側である程度のルールを示していた事も一つの要因ではないかと思う。登山者の登山計画の提出などしっかりしていない人もいる。遭難時の問題は登山者の問題もある。
山田(山岳会) 確かに以前からの利用者というだけで登山者は大きな顔をしている面がある。トレランの大会によって大きな道の踏み外しなどによるインパクトが登山道に与える影響が大きい。1000 人を超えるような大会を連続で開催するのはどうなのか?
根来(環境局) 大会の前後でモニタリングをして確認を行っている。
宮崎(司会) レース参加者の意識はどうなのか?
鏑木(トレラン) 八王子で開催のレースについて、自治体が初めて大会関係者として参加することとなった。 模範的な内容として八王子市が企画している。 一部ハイカーと重複するコースなので、マナーの良いランナーを推奨するなど考えている。 ランナーにしっかりとルールを伝えていくようにしたい。
山田(山岳会)
危惧している点として走る事を楽しむだけでなく、競技としてのトレイルランの開催については専用の場所、登山道を一時的に封鎖して実施するというのが良いのでは。
中沢(マウンテンバイク) マウンテンバイクレースは日本ではスキー場で行っているのがほとんど。自分はカナダでローカルのトレイルを使ってのステージレースに参加してきた。海外では地域と共同でこのようなレースを行っている。 自分としては、日本でもそういった場所を地域と共同で造るのが目標であり夢でもある。
鏑木(トレラン) 競技化は今後先鋭化していくのは必然と考えている。 山田さんの話しを聞いてみて、登山者を締め出して大会というのは自分たちの目指すところではない。
師岡(レンジャー) マウンテンバイクレースを東京の山で行うのは現実的でないと思われる。 トレイルランの踏み外し率は大会にあっては高くなってしまう。工夫がされていないと感じている
鏑木(トレラン) 今後はペナルティを設けて踏み外しを防止する事やコーステープを設置することで対策していくようにしたい。
師岡(レンジャー) ロープで区画、表示、枝などを置くなどをしたところロープと枝などは有効。表示はあまり役に立たない事がわかってきた。
宮崎(司会) 山に対する恩返しなどはどうか?
中沢(マウンテンバイク) マウンテンバイカーは道がスムーズであることを欲するものだ。その為に道にこだわり、メンテナンスを行う。良い関わりを今後も地域との連携をしながら行って行きたいと考えている。
鏑木(トレラン) ただレースに出るだけではなく、地域交流など少しずつ流れは出来ている。地域との連携を行う事でカルチャーとしたい。
師岡(レンジャー) ボランティアのレンジャー募集があるので参加してほしい。
山田(山岳会) 一年に一回クリーン活動の実施や全国の連盟が活動している。山小屋の経営者が道普請など対応している。どうしたら登山者は良いのか山を使っているだけのように感じる面もある。
宮崎(司会)
地権者との関わりについてはどうか?
根来(環境局)
高尾は 40 パーセント、奥多摩 50 パーセントは私有地となっている。ルールを作って山との関わりについてはそういった事も含めて利用者が再考する事の切っ掛けとなったのではないかと考えている。
皆さん、山をたいへん好きなんですよね。
それぞれが関わりについて良く考えている。地域との関わりがある事で良い物になるでしょう。東京はトレラン大会など地域との関わりが他の地域と比べ希薄なのではと感じた。
中沢さんの描くマウンテンバイクコースなどもそういった事からハードルはあってもみえてくると考えられる。
宮崎(司会)
今後もこのような機会をもっていきたい。
※1 議事メモ:西多摩マウンテンバイク友の会 尾林潤様より借用いたしました。
※2 添付画像:西多摩マウンテンバイク友の会 鈴木英之様、柴田淳様より借用いたしました。